EXECUTIVE BRIEFING / 講義資料

管理職層向け 生成AI基礎研修
投資・人材・評価の判断材料を持ち帰る

本研修は、現場でツールを操作する研修ではありません。生成AIとAIエージェントが SI・受託開発・運用保守の事業にどう効いてくるかを把握し、管理職として投資・人材・評価の判断材料を持ち帰っていただくことを狙いとしています。録画とあわせて、本資料単体でも読み返せるよう構成しています。

2026年8月5日(水)・オンライン(Zoom)・録画提供
10:00〜11:30([90min])
SI・受託開発・運用保守の各事業を率いる管理職層向け
当日の流れ([90min]・10:00〜11:30)
[20min]

全体像と最新動向

用語の整理、エージェントは何が違うか、市場の動き。

[15min]

他社事例から考えるインパクト

SI・受託・運用保守での国内大手の取り組みと効果。

[15min]

ガバナンス・リスク

情報漏えい・品質・著作権など統制の論点。

[20min]

管理職に求められる役割

投資判断・人材アサイン・部下との向き合い方。

BRIEFING 01

本研修の位置付けと進め方

手を動かす演習はありません。考えながら聞いていただくスタイルです。到達状態は、自部門での生成AI活用の打ち手と判断の軸を言語化できることです。

パート内容配分
1イントロダクション(狙いと、持ち帰っていただきたい問いの共有)[5min]
2生成AI及びエージェントの全体像と最新動向[20min]
3他社事例から考える生成AIによるインパクト[15min]
4ガバナンス・リスクとの向き合い方[15min]
5AIエージェント時代の管理職に求められる役割・推進スタンス[20min]
6Q&A・クロージング[15min]
合計([90min]・10:00〜11:30)[90min]
持ち帰っていただきたい三つの問い

(1) 自部門でどこから始めるか、(2) 効果を何で測るか、(3) 人の役割をどう移していくか。この三つに自分の言葉で答えられる状態が、今日のゴールです。

本資料の読み方

本文中の数値や事例には出典リンクを付けています。社内で検討材料として共有される際は、リンク先の一次情報もあわせてご確認ください。数値は出典公表時点のものです。研修は [90min](10:00〜11:30)を通しで実施し、最後にクロージングと質疑を [15min] 設けています。

BRIEFING 02

生成AI及びエージェントの全体像と最新動向

似た言葉が飛び交う領域なので、管理職同士で話すときに齟齬が出ない程度に用語を整理します。細部の技術はエンジニアに任せて構いません。判断に効く違いだけを押さえてください。

02.1 生成AI・LLM・RAG・エージェントの違い

LLM

大規模言語モデル

大量の文章を学習し、続きや回答を確率的に生成する仕組み。ChatGPT や Claude の中核です。学習時点までの知識しか持ちません。

RAG

検索拡張生成

社内文書やマニュアルを検索し、その内容を根拠にLLMが回答する構成。学習に含まれない自社固有の情報を扱えます。

Agent

AIエージェント

目標を渡すと、手順の分解・ツール実行・結果確認・やり直しまでをある程度自走する仕組み。回答だけでなく作業を進めます。

MCP

外部ツール接続

エージェントが社内システムやファイル、チケット管理などの外部ツールへ安全につながるための標準的な接続口です。

従来のチャット型生成AI 人 → 指示 → AI → 回答 → 人が確認 → 次の指示(人が毎回かじを取る) AIエージェント 人 → 目標 → AI → 手順分解 → ツール実行 → 結果確認 → やり直し → 完了報告 (途中の判断と作業をAIが自走、人は要所で監督)

従来のチャット型生成AIは「聞いたら答える」までで、人が結果を見て次の指示を出す前提でした。AIエージェントは「やっておいて」に対して、複数の手順を自分で組み立てて実行まで進める点が大きく異なります。この違いが現場の働き方に直接効きます。管理職としては、自部門のどの作業が「任せられる作業」かを見極める視点が要るという観点があります。

02.2 市場と国内の動向

40%
Gartner予測。2026年末までに企業アプリの40%にタスク特化型AIエージェントが組み込まれる(2025年は5%未満)という見方
60.8%
社会インフラ業界の生成AI導入率(準備中含む)。金融・保険業も54.4%と半数超で先行
約7割
生成AI導入で業務時短を実感した企業(報道)。一方で効果実感は二極化の指摘

注目していただきたいのは、導入したかどうかではなく、効果を実感できているかで差が開き始めているという点です。PwC の調査では、活用推進が一定水準に達した一方で効果が期待を下回る企業が増え、二極化が進んでいるという見方が示されています。先行して使いこなせる組織と、入れただけで止まる組織に分かれていくという観点があります。

管理職が押さえる一点

「使えるツールを配ったか」ではなく「現場の業務プロセスに組み込めたか」で成果が決まる、という観点があります。配布の先にある運用設計こそ管理職の関与どころです。

SOURCES
BRIEFING 03

他社事例から考える生成AIによるインパクト

SI・受託開発・運用保守は、まさに国内大手が生成AI投資を集中させている領域です。同業の取り組みと公表された効果を並べると、自社で何を狙うべきかの相場感がつかめます。数値は各社・各報道の公表時点のものです。

事例 01

NTTデータ ― SIプロジェクトへの全工程展開

2025年度に約500プロジェクトへ適用し開発工程全体で20%の生産性向上を目標、2027年度は適用比率50%へ広げ40%(最大70%)の向上を掲げます。AIと生産性向上に2026年までに1000億円規模の投資を表明。投資規模と目標値の置き方が、SI事業をAI前提に作り替える意思の表れだと読めます。

事例 02

日立製作所 ― 工程単位の効果積み上げ

プログラミングや単体テスト工程で生成AI適用を本格化。2024年度の適用効果は50億円に到達し、2027年度に1000億円を目標に置いています。効果を金額で開示している点が特徴で、小さな改善を事業規模のインパクトへつなげる進め方が見て取れます。

事例 03

富士通 ― 案件全体への面的展開

国内総プロジェクト約2万件のうち約3割でAI活用済み、2025年度末に5〜6割への拡大を計画。一部の先進案件ではなく、抱える案件全体への適用比率を経営指標として追っている点が参考になります。

事例 04

SCSK ― 提案・ドキュメント作成の工数削減

顧客向け提案作成にかかる工数を約40%削減したと公表。開発工程だけでなく、提案や設計ドキュメントといった上流の作業に効くことを示す事例で、受託・SI事業の収益構造に直結する論点です。

事例 05

運用保守・SRE ― 受動から能動への移行

障害が起きてから対応する受動的運用から、予兆検知や自動復旧を行う能動的運用(AIOps×生成AI)への移行が論点に。生成AIとMCPを組み合わせた自律型SREの実証も出ています。SREの役割はAIと人の協調体制を設計する側へ移っていくという観点があります。

業界全体の論点

2025年4〜9月期の決算で大手SIerがAI利用状況を開示し、人月型ビジネスからの脱却が論点化しました。生成AIで開発生産性が約50%向上しうるという業界誌の試算もあり、稼働時間を売る収益モデルそのものを見直す議論が始まっているという観点があります。

これらをエヌアイデイの三つの受託・SI事業とMSP運用保守事業に重ねると、提案・設計の工数削減、開発工程の生産性向上、運用の能動化という三つの効きどころが見えてきます。どこから着手し、どの指標で効果を測るかが、各事業を率いる立場での判断になります。

SOURCES
BRIEFING 04

ガバナンス・リスクとの向き合い方

使わないことのリスクと、使うことのリスクの両方があります。管理職に必要なのは、リスクをゼロにすることではなく、許容できる範囲を決めて現場が安心して使える線引きを与えることだ、という観点があります。

04.1 押さえるべき四つの論点

論点何が起きうるか管理職の打ち手
情報漏えい顧客情報やソースコードを外部サービスへ入力し、学習や第三者閲覧のリスクが生じる業務利用してよいサービスと、入力してよい情報の分類を社内ルールで明示する
出力品質・誤りもっともらしいが誤った回答やコードを、無検証で成果物に取り込むレビューを通す工程を残し、最終責任は人にあることを運用に組み込む
著作権・ライセンス生成物が他者の権利を侵害する、またはライセンス条件に抵触する納品物への利用範囲を契約・社内基準で確認する流れを設ける
過度な依存若手が考える前にAIへ丸投げし、判断力が育たないAIに任せる作業と、人が考える作業を意図的に分ける運用にする

04.2 顧客の情報を扱う受託事業ならではの留意

受託・SI事業では、預かった顧客の情報やコードをどこまでAIに入力してよいかが、自社判断だけで決められない場合があります。契約や顧客の社内規定で生成AI利用の可否が定められていることがあるため、案件ごとに確認する流れを持っておくことが安全だ、という観点があります。MSPの運用保守でも、監視ログや構成情報の取り扱いは同様に注意が要ります。

禁止ではなく線引きで

一律禁止は現場の工夫を止め、隠れて使う温床にもなりかねません。使ってよい範囲を具体的に示すほうが、結果として統制が効くという観点があります。何を入れてよいかの判断基準を現場に渡すことが管理職の仕事だと考えます。

SOURCES
BRIEFING 05

AIエージェント時代の管理職に求められる役割・推進スタンス

ここが本研修の中心です。投資判断・人材アサイン・部下との向き合い方の三つに分けて、明日から考える材料を整理します。いずれも正解を配るのではなく、判断の軸を持ち帰っていただく趣旨です。

05.1 投資判断 ― 何にいくらかけ、どう効果を測るか

ツールのライセンス費用だけを見て高い安いを判断すると、本質を外すという観点があります。効果が出るかどうかは、現場の業務にどれだけ組み込めたかで決まるため、導入後の運用設計・教育・ルール整備までを投資の対象として見るのが妥当だと考えます。

軸 01

小さく始めて測る

一事業・一工程に絞って試し、提案工数や開発工数といった測れる指標で効果を見るところから始める進め方があります。

軸 02

効果は工数と品質で

SCSKの提案工数約40%削減や日立の工程効果のように、自社でも測れる指標を先に決めておくと投資の継続判断がぶれません。

軸 03

運用まで含めて原価に

ライセンス費に加え、教育・ルール整備・レビュー工程の負荷も含めて投資対効果を見る観点があります。

05.2 人材アサイン ― 誰に何を任せるか

エージェントが定型的な実装やテストを巻き取っていくと、人に求められる比重は、要件を言葉にする力・AIの出力を評価する力・顧客と握る力へ移っていくという観点があります。アサインの設計も、稼働時間を埋める発想から、付加価値の高い工程に人を寄せる発想へ変えていく余地があります。

軸 01

推進役を一人立てる

各事業に旗振り役を置き、現場の試行と横展開をつなぐ役割を担わせる進め方があります。

軸 02

評価する力を育てる

AIに作らせて終わりではなく、出力の良し悪しを判断できる人を増やすことが、品質を守る鍵になるという観点があります。

軸 03

役割の再定義

運用保守ではSREのように、人がAIと協調する体制を設計する役割が重みを増していくという観点があります。

05.3 部下との向き合い方 ― 不安と評価

現場には、仕事がなくなるのではという不安と、使ってみたいという期待が同居しています。管理職が示すべきは、AIで人を減らすのではなく、AIに任せた分だけ付加価値の高い仕事へ移ってもらうという方針だ、という観点があります。評価のものさしも、こなした作業量から、AIをどう使い成果と品質をどう高めたかへ寄せていく余地があります。

明日からの一歩

自部門の業務のうち、提案・設計・テスト・運用報告など、AIで工数を測れそうな箇所を一つ選び、小さく試す。その結果を見て投資と人の配置を決める。この順番が現実的だと考えます。

BRIEFING 06

まとめと質疑

本研修で持ち帰っていただきたいのは、三つの問いです。自部門でどこから始めるか、効果を何で測るか、人の役割をどう移していくか。この三つに自分の言葉で答えられる状態が、今日のゴールです。

総括 01

全体像

エージェントは「答える」から「作業を進める」へ。効果は導入の有無ではなく業務への組込みで決まるという観点があります。

総括 02

事例

国内大手はSI・受託・運用の全工程へ投資中。提案工数削減・工程効果・運用の能動化が効きどころです。

総括 03

役割

投資は運用まで含めて測り、人は付加価値工程へ寄せ、評価は使い方と品質へ。線引きと方針を示すのが管理職の仕事です。

質疑では、投資対効果・セキュリティ・雇用への影響・導入の順序・ベンダー選定・部下の評価など、判断に迷う論点を遠慮なくお寄せください。本資料は録画とあわせて読み返せるよう構成しています。

SOURCES